スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2011.06.14 Tuesday / - / スポンサードリンク

青空の下

「ねえ、空の下って何があるとおもう?」
「空の……下?」
突然の問いかけに、私は思わず返事に詰まる。

「うーん……やっぱりどこまでも空なんじゃない?」
「そっか、そうー……なのかなあ」
根拠のない憶測でそう答えてみたが、
彼はどうやらその答えでは納得できないようで、少し考えたのち再び口を開いた。

「僕たちの周りってさ、空の青か雲の白ばっかじゃない?
 でも、下の方を眺めてるとたまに雲の向こう側に別の色が見えるんだ」
「え、青でも白でも黒でもなくて?」
まさか、と思って向き直るが、彼はあくまで真剣な面持ちだった。
私は前翼で身体を半回転させ、遥か下を流れる雲のさらに向こうへ目を凝らす。
下の方では大きな雲が幾重にも重なり合っていたが、その雲と雲の隙間に、
言われてみれば気付くか、程度に微かだが確かに見慣れない色があった。

「ほんとだ……」
と、その微かな色を見ながらふと考える。
空の下の話なんて誰かに聞いたことがあっただろうか?
空はどこまで行っても空だ、なんて教わった記憶はあるけど
それはあくまで東西南北、水平方向の話。
ずっとずっと高いところは空がどんどん薄くなって
寒さでとても飛んでいられなくなる、なんて話も聞いたけど
じゃあ低いところはどうなんだろう?

「なんだろう、あの色……夜空の色にもないよね」
「そうなんだよね。あのさ、ちょっと考えたんだけど……」
そう言って彼は声をひそめ、私に耳打ちする。

「……空の下には、ぜんぜん別の世界があって
 竜じゃない別の生き物がいっぱい生活してるのかも、って思うんだけど」
「…………ぷっ」
そのあまりに突拍子もない考えに、私は思わず吹き出した。

「なんだよっ、笑わないでよ! 真剣なんだぞ!」
「あははははっ……ご、ごめんっ。でも、あんまり夢みたいで……っ」
「もうっ、ひどいなあ……」
ちょっぴり拗ねた様子でそっぽを向いた彼の様子がまた可笑しくて、
私は少しだけ滞空する位置を上げて、彼の頭をなでてやった。

「昔からこうだったよね、しっかりしてるんだけど夢見がちで」
「夢じゃないよっ、ほんとにそうだと思ったんだから!」
「きっとね、それが夢見がちって言うんだよ」
「……うー」

「でも、君のそんなところ、私は好きだよ?」
「え……!」

再びそっぽを向いてしまった彼を横目に、
私はもう一度遙か遠く、青空の下へと視線を移した。
不思議な色はもう雲に隠れて見えなくなっていたが、
もし空の下に彼の言うような別世界があったら
それはそれで素敵かも、なんて柄にもない想像をしながら、
彼が遅い返事を返すまで私は広い空の下を眺めていた。


----
下のと同じく物語の種「青空の下」より!
曲解してみました。文字通りかもね。
なんとなくほのぼのラヴ。

スポンサーサイト

2011.06.14 Tuesday / - / スポンサードリンク