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2011.06.14 Tuesday / - / スポンサードリンク

朝が、今、宇宙の、遠境に、訪れて。

淡い紫色に染まりゆく空を
一杯に満たしていた星々はもう
薄らいで消え入りそうで、
円弧を描く光月の白い輪郭も
遅からず見えなくなると思われた。

皆既月食の夜が明けて
樹も水も人々も未だ眠らず、
空気のぴんと張りつめた
経度二百二十四度の空。
興奮の尾羽はまだここに満ちている。

最初で最後の朝明けの
瞬間を見届けるために、
既に白に融けて見えなくなった
星雲との別れを惜しむように、
空をじっと見つめていた。

太陽の前兆の眩さに目を細め、
小さな小さなこの星と
月の夜だけが存在した時代、
天使の住まう雲が空に泳いでいた
遠くない昔に思いを馳せて。

何もない世界に生まれた私達は
二重に隔絶されていた。
縫い目の向こうに隠された光にも、
眠る世界はいつまでもこのままだと
脳裏に繰り返してきた私達自身にも。

薄暮と薄明の間にたゆたうこの世界に
陽の光なんて必要なかったのに。
不変の日々がただそこにあるという
平穏こそ求めるものだったのに。
本当の願いはいつも踏みにじられる。

満月の夜の優しさがもう二度と
見られないということも、
無限の星空ももう二度と
目にすることさえ叶わないことも。
妄執だと片付けられる気はしない。

焼けた空の縁が白く輝きはじめ、
雄大な地平の果てに光が走る。
夜が今、明ける。

落陽の日から一万年を数え、
離別して久しい太陽に再び相見えた星は、
流転の大いなる波へとその身を投じるのだろう。
烈日に焦がれ続けた揺りかごはそうして
牢獄となり私を縛り付けるのだろう。

私の迎えた初めての朝、私は世界に別れを告げた。



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お題「あいうえお作文」
追加縛り「行頭は漢字」
でした。

*補足というか言い訳*
い:開幕から普段は漢字で書かない言葉を使ってる
え:1つめの月 こっちの月は光源です
か:2つめの月 こっちは反射光だけなので月食になるの
け:東経西経に分けない星があってもいいじゃない
こ:尾羽と尻尾で相当迷った
た:まだ夜明けじゃなくて朝焼けです 朝焼けも眩しいんです
に:困った文字その1 使いにくい漢字ばっかり……ッ
の:困った文字その2 脳裏に繰り返すって言い回しが微妙
は:夕暮れと夜明けの間=夜中
ほ:困った文字その3 主人公いじけてます
も:困った文字その4 この単語つい「もうしつ」って読んじゃう
る:困った文字その5 他に思いつかない
れ:困った文字その6 真夏の強い陽射しとかなんとか
ろ:困った文字その7 ラ行難しすぎです
わ:成り行き上普段書かないようなオチに
を:無理でした
ん:もっと無理でした

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